
1995年にリリースされたオアシスのセカンドアルバム『(What’s the Story) Morning Glory?』は、90年代を代表するロックアルバムのひとつです。全世界で2,500万枚以上を売り上げ、イギリスの音楽史においても記録的な成功を収めました。このアルバムは「ブリットポップ」というジャンルを象徴する作品であり、同時に90年代の若者文化の象徴でもありました。
この記事では、『モーニング・グローリー』の背景、楽曲の魅力、サウンドの特徴、そして音楽史における意義について詳しく解説していきます。
アルバム制作の背景
オアシスは1994年のデビュー作『Definitely Maybe』で一躍注目を浴びました。ストレートで勢いのあるロックンロールは、当時のイギリス音楽界に新しい風を吹き込みました。しかし、バンドの真価が世界的に認められたのは、翌年に発表された『モーニング・グローリー』によってです。
アルバム制作時、バンド内部では兄ノエル・ギャラガー(G/Vo)と弟リアム・ギャラガー(Vo)の対立が絶えませんでした。それでも、ノエルが生み出すキャッチーで普遍的なメロディと、リアムの荒削りでありながら力強いボーカルが融合し、90年代を代表する傑作が誕生しました。
サウンドの特徴
『モーニング・グローリー』のサウンドは、ロックンロールのシンプルさと壮大なスケール感を併せ持っています。
- 厚みのあるギターサウンド:ジャングリーなコードワークと分厚いディストーションが全体を包み込みます。
- メロディの普遍性:ビートルズやストーンズを思わせるキャッチーなメロディが多くの人を惹きつけました。
- 大合唱できるサビ:ライブで観客全員が一体となって歌えるような楽曲構成が魅力です。
この特徴が、オアシスを「国民的バンド」へと押し上げた要因といえるでしょう。
代表曲とその魅力
Wonderwall(ワンダーウォール)
オアシス最大のヒット曲にして、90年代ロックを象徴するバラード。アコースティックギターの優しい響きと、心に残るメロディが特徴です。歌詞は曖昧ながらも普遍的な「支え合う存在」への思いを描き、多くの人々に共感を与えました。
Don’t Look Back in Anger(ドント・ルック・バック・イン・アンガー)
ノエルがリードボーカルを務めた名曲。印象的なピアノのイントロはジョン・レノンを彷彿とさせます。タイトルの「怒りに背を向けるな」というメッセージは、後にイギリスで起きた悲劇の追悼式などでも合唱され、国民的なアンセムとなりました。
Some Might Say(サム・マイト・セイ)
アルバムからの先行シングルで、オアシス初の全英1位を獲得した曲。疾走感のあるリフと、社会に対する皮肉混じりの歌詞が魅力です。
Champagne Supernova(シャンペン・スーパーノヴァ)
アルバムを締めくくる7分超の壮大な楽曲。幻想的な雰囲気と余韻のあるメロディは、オアシスの新たな側面を示しました。
音楽史における意義
『モーニング・グローリー』は、イギリス音楽史の中でも特別な位置を占めています。
- ブリットポップの頂点
同時期に活躍していたブラーとの「バトル・オブ・ブリットポップ」はイギリスの音楽シーンを盛り上げました。その中でオアシスは商業的にも文化的にも勝利を収め、ブリットポップの象徴となりました。 - 国民的アンセムの誕生
「Wonderwall」「Don’t Look Back in Anger」は、単なるヒット曲を超えて、世代を超えて歌い継がれる存在となりました。特に後者は社会的な場面でも合唱され、音楽が持つ連帯の力を示しました。 - 世界進出の成功
イギリス国内だけでなく、アメリカや日本を含む世界中で大ヒット。オアシスは「90年代最後のロックンロールスター」として、世界的な人気を獲得しました。
ジャケットの意図
アルバムジャケットには、ロンドンのソーホーを歩く二人の人物が描かれています。日常的な風景の中に「何気ない朝の始まり=モーニング・グローリー」を表現しており、シンプルながらも象徴的なイメージです。音楽と同様、普遍性と親しみやすさを感じさせます。
まとめ
『(What’s the Story) Morning Glory?』は、90年代のブリットポップを世界に知らしめた金字塔です。力強いロックサウンドと心に残るメロディは、時代を超えて多くの人々に愛されています。
このアルバムを聴けば、当時のイギリスの熱狂や、音楽が社会とどのように結びついていたのかを実感できるでしょう。もしまだ聴いたことがない方は、ぜひ一度通して聴いてみてください。きっとその魅力に引き込まれるはずです。



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