近くの総合病院に決めるまで

乳がんにまつわるエトセトラ

がんの告知を受けてから、治療を受ける病院をどう選ぶかは大きな決断でした。
前回の記事で隣県の総合病院を受診したこと、そこで治験のお話を聞いたことについて触れましたが、最終的に私は自宅から一番近い総合病院を選びました。
今日はその経緯や、迷いながら考えたことを振り返ってみたいと思います。

隣県の症例数の多い病院か、近くの総合病院か

告知直後、まず頭に浮かんだのは「とにかく一番良い治療を受けたい」ということでした。
インターネットで調べると、がんの専門病院や大学病院には最新の治療法や臨床試験(治験)がそろっていることがわかりました。
特に、「ここなら治る確率が上がるのではないか」という期待を抱かせる記事や体験談も多く、心が大きく揺れました。

一方で、現実的な生活を考えると、自宅から遠い病院に通うことには大きなハードルがありました。
抗がん剤治療が始まれば、副作用で体がつらくなる可能性が高い。
そんな時に、車で片道2時間弱かけての通院ができるだろうか。
入院が必要になった場合、家族のサポートが難しくなるのではないか。
もしも入院が必要になってしまったら、その間は子どもに会うこともできなくなるのではないか。

最新の治療と生活のしやすさ、そのバランスに答えを出すのは簡単ではありませんでした。

家族との話し合い

病院選びについては、家族とも何度も話し合いました。
「隣県で通院が少し大変でも症例数の多い病院の方が安心じゃない?」
「でも通院が大変になったら続けられないよね」という現実的な意見も出ました。

家族にとっても、病院までの距離は重要です。
特にもしも入院となった場合には、毎日のように来てもらう可能性がある。
私自身よりもむしろ、家族の負担を考えると「近くにあること」はとても大事なんだろうなと思いました。

その一方で、「せっかく治療するなら、少しでも良い病院を選んだ方がいいのではないか」という気持ちもなかなか消えません。
頭では理解していても、心は常に「もっと良い選択肢があるのでは?」と不安を感じ続けていました。

従姉(医者)に相談してみる

病院選び、どうしても決められずにいたので、従姉に相談しました。
なんで従姉かというと・・・
お医者さんで、その従姉のダンナ様もがんと闘っているんです。
なので、がん患者の家族としての立場からも、お医者さんとしての立場からも、どちらの立場からもアドバイスをもらえると思って、相談をしました。

「隣県で遠くても症例数の多い病院にしたいけど、通院時間や副作用を考えると決めきれない。」
「治験を受けるチャンスがあるなら、そっちを選択したいけど、どう思う?」

従姉の答えは、とても冷静で現実的なものでした。
治験は適応できる人が限られていて、必ずしも参加できるわけではないこと、
治療の基本は全国どこでも共通していて、近くの総合病院でも標準治療が受けられること、
治療を続ける上では「通いやすさ」がとても大切なこと。

従姉としては、
「症例数も大事だけども、標準治療はどこの病院でも受けられるよ」
「今のうちに、体力も時間もお金も、温存しておいた方が良いよ」
「どんなに良い治療でも、続けられなければ意味がないよ」
「何より、子どものことを考えたら、近さは何にも代えられないよ」
これらの言葉は、迷っていた私の気持ちを整理してくれました。

近くの総合病院を選ぶ決め手

最終的に、私は自宅から車で30分ほどの場所にある総合病院を選びました。
決め手になったのは次のような点です。

■距離の近さ
副作用が出ても通いやすいこと。
入院になったとしても、家族の負担も少なくてすむこと。

■医療体制の安心感
医師でもある従姉に相談した際に、標準治療はどこの病院でも受けられると聞いたこと。
がん治療の実績があること。
緊急時にも対応してもらえる安心感がありました。

■自分の生活との両立
日常生活や仕事を続ける上で、極力「普段の生活圏内」で治療を進められること。

もちろん、隣県の症例数の多い病院に行けば、最新治療に触れられる可能性もありました。
それでも、治療を継続するための「現実的な選択」として、私は近くの総合病院を選びました。

今振り返って思うこと

病院選びは正解がひとつではありません。
誰にとっても「最新治療が最善」とは限らず、「通いやすさ」が何よりの安心につながる場合もあります。
私にとっては、治療を続ける力を支えてくれるのは「近さ」と「家族の存在」でした。

これからどんな治療が始まるのか、正直なところ不安でいっぱいです。
この選択が正解なのかどうかも、分かりません。
それでも「ここで頑張ろう」と思える病院を選んだことは、私にとっては大きな支えになっています。

もし、いつか転院をしたいと思う時がくれば、その時にまた悩めばいいかなと思っています。
もしかしたら、いつか、治験を受けられるタイミングもあるかもしれない。
その時がきたら、またいっぱい悩んで、転院すればいいやと思っています。

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