検査とステージ4診断まで

乳がんにまつわるエトセトラ

乳がんの告知を受けてから、私はさらに詳しい検査を受けることになりました。
告知の段階で「悪性腫瘍の可能性が高い」とは聞かされていましたが、実際にどこまで広がっているのかを確認するために、まずはCT検査を行うことになりました。

また、BRCA1/2遺伝子検査を受けることも勧められました。
こちらは保険適用の条件があるようなのですが、私は保険適用になるとのことで、先生からはこちらの検査も勧められました。

CT検査での指摘

最初に受けたのは CT検査(*) でした。
CTとは「コンピュータ断層撮影」のことで、体を輪切りのようにスキャンし、体内の臓器や腫瘍の状態を詳しく確認できる検査です。

検査から数日後、仕事中にクリニックから何度も着信があり、すごく嫌な予感がしました。
折返しお電話をしてみると、先生から「詳しい検査をしないとはっきりとは分からないけれども、CT画像上では肺と脳に転移の疑いがある」と説明を受けました。
あの瞬間、胸の奥がスッと冷たくなるような感覚を覚えたのを今でも忘れられません。
CT検査は受けたものの、他臓器への転移の可能性というのを、あの頃の私は全く想像していませんでした。
乳がんが転移しているかもしれない──そう言われることの意味の重さに、言葉を失いました。

転移の疑いがあるということで、PET検査とMRI検査を受けることになりました。
それぞれ専門の病院での検査になるとのことで、紹介状を出してもらい、検査の予約をしてもらいました。
「どうか転移ではありませんように」と祈る気持ちで、次の検査に臨みました。

CT検査:
治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べる、治療の効果を判定する、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査です。

がん情報サービス|CT検査とは

PET検査で全身を調べる

次に行ったのは PET検査(*)です。
PETは「陽電子放射断層撮影」といい、がん細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用して、体のどこにがんがあるのかを調べる検査です。
検査前にブドウ糖に似た薬を注射し、全身を大きな機械でスキャンします。

この検査を行える機関は限られており、専門の病院で検査を受けることになりました。
検査中と待ち時間は安静にするように指示があり、待機室に通された後はほとんど寝てました。
この検査は被ばく量の大きいものになるようで、検査を行った施設の検査場所は厳重な扉で閉鎖されていたり、検査後は妊婦さんや乳幼児との接触は避けるように言われたり、物々しい検査をされているんだなと実感しました。
そして、「もしあちこちに転移が見つかったらどうしよう」という不安も常に頭をよぎってました。

PET検査:
静脈からFDG(放射性フッ素を付加したブドウ糖)を注射し、細胞に取り込まれたブドウ糖の分布を、放射性フッ素を目印に画像にします。がん細胞は、通常の細胞より多くのブドウ糖を取り込む性質があるため、たくさんのブドウ糖が集まるところには、がんがある可能性が高いと考えられます。

がん情報サービス|PET検査とは

MRI検査で脳を詳しく

脳に転移の疑いがあるということで、MRI検査(*)も受けました。
MRIは強い磁場と電波を使って体の断面を映し出す検査です。

この検査も元々受診していた病院ではなく、脳神経外科を受診し検査をすることになりました。
検査中、機械の中に入ると、工事現場のような大きな音が響き、20〜30分ほどじっと横にならなければなりません。
狭い空間に閉じ込められるような感覚があり、少し不安な気持ちになりました。

「脳に転移していたらどうなるんだろう?」「子どもの成長を見守れなくなってしまうのかな?」と、ネガティブな考えばかりが浮かび、検査時間がとても長く感じられました。

検査後、診察室で説明を受け、「転移の疑いの指摘箇所は血管で、転移ではありませんよ。」とのお話を聞き、その瞬間は本当にホッとしました。

MRI検査:
強力な磁石と電波を使って、磁場を発生させて行います。強力な磁場が発生しているトンネル状の装置の中で、FMラジオなどで用いられている周波数の電波を体にあて、縦、横、ななめなど、体のさまざまな方向の断面を画像にします。

がん情報サービス|MRI検査とは

結果を告げられた日

診察室へ入って、先生からの第一声は「事態は思っているよりも深刻です」という言葉でした。
「脳への転移はありませんが、肺に転移があります」と伝えられました。
乳がんのステージは4。
転移性乳がん、つまり完治を目指すことが難しい段階だということを意味します。

結果を聞いた瞬間、真っ先に浮かんだのは「子どもの卒園式に出られるのだろうか?」「入学式まで私は大丈夫なのだろうか?」ということでした。
当時、子どもは年長さんで、卒園式と小学校の入学式が控えていました。
病気のこと以上に、子どもの節目の行事に参加できないかもしれないという心配と不安が強く、胸が締めつけられました。

心の揺れとステージ4と向き合うスタート

「脳転移はない」と安心した気持ちと、「肺に転移がある」という事実の重さ。
希望と絶望が同時に押し寄せてきて、心が大きく揺れました。

その後の説明では、治療は長期戦になること、完治を目指すのは難しいことなども伝えられました。
先生の話を聞いていても、現実感がなく、どこか遠くの出来事を聞いているような感覚でした。

こうして私は「ステージ4乳がん」という現実を突きつけられました。
この時はまだ現実を「受け止める」のが精一杯で、まだまだ「受け入れる」ことができずにいました。
頭の中は不安でいっぱいでしたが、それでも「どうにか治療の選択肢を探さなければ」と思う気持ちもありました。

診断を受けたその日から、私の「乳がんと共に生きる生活」が本格的に始まったのです。

まとめ

この日を境に、私の人生は大きく変わりました。
CT、PET、MRIといった検査を経て「ステージ4」という言葉を告げられる経験は、本当に心を揺さぶるものでした。
けれど同時に、脳に転移していなかったことは小さな希望にもなりました。

次の記事では、治療を受ける病院をどのように探し、どうやって選んだのかについて書いていきたいと思います。
同じように病院選びで迷っている方の参考になれば幸いです。

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