前回の記事では、検査を受けて「乳がんの可能性が高い」と伝えられたところまでを書きました。
今回は、その後どのようにして告知を受けたのか、そしてそのとき自分がどう感じたのかを残しておこうと思います。
診察室へ・・・
あの日のことは、今でも鮮明に覚えています。
病院の待合室に座っているときの鼓動の速さ、手のひらにじんわり広がる汗、時間が止まったように感じるあの独特の空気。
検査結果の日は必ず家族と一緒に来るように、一人では来ないようにと事前に言われていたので、ダンナにお休みをとってもらい、二人で受診しました。
診察室に呼ばれ、ダンナと二人で診察室に入りました。
前回の受診で「悪性腫瘍の可能性が高い(乳がんなのは間違いないだろう・・・)」というのは既に聞かされていましたが、この日ははっきりとした結果を告げられる日。
覚悟はしていたつもりでしたが、やはり心臓が締めつけられるように苦しかったです。

乳がんの確定診断、トリプルネガティブ乳がん。
先生の口から告げられたのは、
「針生検の結果、悪性腫瘍、つまり乳がんです。」
という言葉でした。
覚悟はしていたはずなのに、頭の中が真っ白になりました。
続けて、針生検の結果、私の乳がんのサブタイプ(*)はトリプルネガティブ(*)であること、次はCT検査(*)を行うことも伝えられ、現実が一気に押し寄せてきました。
乳がんのサブタイプ:
国立がん研究センター|乳がんのサブタイプ
乳腺に発生するがんを乳がんと言いますが、その性質はさまざまで現在は4つに分類(サブタイプ)され、サブタイプごとに治療方針が決められます。
トリプルネガティブ:
乳がんINFOナビ|乳がんのサブタイプ
トリプルネガティブと呼ばれているサブタイプで、攻撃の標的となるホルモン受容体とHER2タンパクのいずれも持たないタイプです。
CT検査:
がん情報サービス|CT検査とは
治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べる、治療の効果を判定する、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査です。
心に浮かんだこと
真っ先に浮かんだのは「家族」のことでした。
特に当時、年長だった子どもの卒園と小学校入学が控えていたのです。
「卒園式に出られるだろうか?」
「入学式に一緒に行ってあげられるのだろうか?」
小さな我が子にとって一生に一度の大切な節目。
その日に自分がそばにいられないかもしれないと思うと、胸が押し潰されるように苦しくなりました。
次々と頭をよぎるのは未来への不安。
「手術はどうなるんだろう?」
「入院が必要になるのだろうか?」
「抗がん剤?放射線治療?をするのだろうか?」
「仕事や日常生活はどうなるんだろう?」
考え始めると止まらず、心が混乱していきました。
涙と混乱の中で
先生の説明は続いていましたが、正直そのときの私はすべてを受け止められる状態ではありませんでした。
先生が話してるのは自分のことではないんじゃないかな?と、どこか上の空になってしまうような感覚だったように思います。
先生は私の体に”今”起こっていることをしっかりと説明してくれているのに、私の心はそれを受け入れられていなかった(受け入れるのを拒もうとしてた?)んだと思います。
質問したいこともあったはずなのに、言葉は何も出てきませんでした。
覚悟もしてたはずなのに、ただただ涙が溢れてきて、先生の言葉にうなずくだけで精一杯でした。
あの日を振り返って思うこと
今振り返ると、あの日は私の人生の大きな転換点でした。
告知を受けた直後は恐怖や絶望感でいっぱいでしたが、同時に「生きること」や「家族との時間」の尊さを強く感じるようになりました。
卒園式や入学式を思い浮かべたのも、その大切さに気づかされたからだと思います。
時間が経つにつれ、少しずつ状況を整理し、治療に向き合うための情報を集め始めました。
情報は時に怖さを増幅させることもありますが、自分の病気を知ること、理解することで、自分のおかれてる状況を受け入れられるようになり、少しづつですが、落ち着きを取り戻していけました。
同じ経験をされた方へ
もし今、同じように告知を受けて戸惑っている方がいたら、伝えたいことがあります。
・泣いてもいい
・怖いと言ってもいい
・不安を抱えたままでもいい
すぐに前を向けなくても大丈夫です。
大切なのは、一人で抱え込まないこと。
家族や信頼できる人と一緒に受け止め、少しずつ整理していけば良いと思います。
この記事は私個人の体験を記したものです。
医療に関する判断は必ず主治医の指示に従ってください。



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